第24回参加者募集要項

第24回国際古楽コンクール<山梨>

2010年5月1日(土)、2日(日)
応募部門:バロック時代の旋律楽器、リュート属、声楽
審査委員:有村祐輔 ディミトリー・バディアロフ 大竹尚之 佐藤豊彦 バーバラ・シュリック

皆様に愛され、また期待されて継続することができました「古楽コンクール<山梨>」は、今年で24回を迎えます。御存知の通り、このコンクールは心あるたったひとつの企業、甲府の印傳屋上原勇七の御支援を得て、古楽に携わる音楽家の育成のために開催されております。
実行委員会といたしましては、この四半世紀の間に、当初の目的はある程度達成できたと感じます。しかし演奏技術が向上し、多くの模範となる音楽家が存在している現今、私達は再度これらをカノンとして受け入れるというクラシック音楽界の悪癖に陥ってはいないでしょうか。過去の音楽に再び息吹を、そして演奏を通して聴衆と心の交流を、と考えた先駆者の意気込みや生き生きとした思いを、今なお同じように共有しているでしょうか。
荒川は実行委員長として、絶えず新しい課題を加え、コンクールの発展に努力し、また工夫も重ねてまいりました。しかしここ数年、このコンクールの将来像が描きにくくなってきておりました。
そのような中、昨年12月にスポンサーからお呼び出しをいただきました。現会長である13代上原勇七氏、次代を担うべき社長、専務とお揃いの席で、コンクールの未来に関する御質問をいただきました。13代は、まさに400余年、絶えることなく鹿革に漆細工を施した製品を持って時代の荒波を乗り越えられた歴代の中で、特に店に盛況をもたらされた方です。この四半世紀の世の中の変化を見逃すわけはありません。ということは、古楽もその世の中で存在しています。単に演奏水準が高くなった、世界に伍して活躍できるようになったといった説明で納得される訳がありません。その身につけた芸をもって何をしたいのか、何の目的で演奏家は精進しているのか。どうも最近のコンクールの様子を見ていると、一生懸命に勉強して参加する方、楽器や楽譜、CD等を持ってきてくださる方、聴きにきてくださる方相互に、「ありがとう」という気持ちの交流があまり為されていないように感じる、とおっしゃられました。そこにおられる方が甲府に来てよかった、しあわせだ、と感じていただくような会にすべきではないか。自分は皆が喜びに溢れている様子が見たい。しかしそれができないなら25回をもって打ち切りとしたい、という御意向でした。もっと具体的に申し上げるなら、音楽を社会から隔離してしまうような殺風景な大きなホールを、単に音響に問題が無いという理由で使用し、古楽を愛好する聴衆がちんまりと入っているだけでよいのか。もっと参加者を盛り立て、聴いていただいて「ありがとう」、聴かせていただいて「ありがとう」と互いに言い合える場は探せないのか・・・という御詰問でした。
咄嗟に思い付いたエリアがあります。昭和14年甲府に住んだ太宰 治は、ここを「きれいに文化のしみわたっている街」と愛しました。桜座のあるさくら町一帯は、ゴースト・タウンのようになってしまった現在、街を息返らせる拠点として、往年の活気を取り戻すべく活動を始めています。その一帯に移っては、という私の案は直ちに受け入れられました。さっそく打ち揃って下検分をし、街の方の御協力をいただきました。「鉄は熱いうちに鍛えよ」のことわざの通り、計画の練り直しとなりました。そしてコンクールの始まりの事情と同様に、「命ある限り、互いに手を携えて」という上原会長の御約束をいただくことができました。
昨年10月、コンクール参加者応募要項の発布にあたり、第24回開催に御協力を約束してくださった各方面には、お侘びの言葉もありません。しかし古楽コンクール<山梨>をひとつのきっかけとして、成長された方が多くおられることを思うにつけ、その喜びを継続して若い方にもプレゼントしたいと願っております。また改めてスポンサーの御指摘、お考えの素晴らしさには敬服し、御期待に応える企画としたいと感じます。このような時代だからこそ、集ってくださった皆様の御心が互いに触れ合う場として、コンクールが存在できるよう一層の工夫や努力をいたしたく存じます。
この新生古楽コンクール<山梨>を愛し、見守っていただきたくお願いをいたします。
なお音楽活動は、音楽が自分の人生にとって非常に大切と感じる聴衆の存在をもって、初めて意味を持つものとなりましょう。甲府の春は花と緑の映える美しい季節です。お誘いあわせのうえお出かけいただきたく、お越しをお待ちいたしております。
2010年3月31日必着で応募を締め切りましたところ、55名のお申し出をいただきました。内訳は以下の通りでございます。

・演奏楽器と声種
声楽16名(ソプラノ 13名、カウンターテナー 2名、バス・バリトン 1名) 
管楽器25名(リコーダー 11名、バロック・オーボエ 8名、バロック・フルート 4名、ツィンク 1名、バロック・トランペット 1名)
弦楽器14名(バロック・ヴァイオリン 8名、ガンバ 4名、リュート属 2名)
・性別 男性9名、女性46名
・年代 10歳代:2名、20歳代:25名、30歳代:22名、40歳代:4名、50歳代:1名、60歳代:1名
・居住地 東京都18名、埼玉5名、 神奈川4名、 ドイツ4名、 大阪3名、 兵庫3名、スイス3名、 韓国3名、長野 2名、フランス2名、 オーストリー2名、栃木1名、新潟1名、 千葉1名、三重 1名、滋賀 1名、オランダ 1名

・入賞
第1位リニョル、ミリアム(Myriam Rignol) (女性 21才)リヨン、フランス出身
リヨン高等音楽院でM.ミュラーに3年師事した後、エラスムス交換留学生としてケルン音楽大学のマスタークラスでR.ツィペーリングに学ぶ。さらにJ.サヴァル、W.クイケン、E.バルサのクラスを受講。
ソリストとしては2009年ケーテンにおけるBach-Abel コンクールで第2位を受賞。
アンサンブル Estampes の創設メンバーとして、2008年イタリアのBonporti コンクールで第4位、聴衆賞、最高通奏低音奏者賞を、2009年ブルージュのコンクールで第1位を受賞。
すでにヨーロッパ各国、日本において、ソリスト、室内楽、オーケストラ奏者として活躍。

第2位 該当者なし

第3位 ヨム、ウンチョ(Encho Yeom)(女性 18才) 韓国出身10才で国立韓国芸術大学付属音楽学校でリコーダーを始める。14才でニュージーランドに渡りW.クレーマーに師事。16歳でチューリヒ音楽大学に入学し、K.ブッケに師事。
2003年ソウル大学コンクールで第1位、韓国国内コンクールで第1位、2006年第20回古楽コンクール<山梨>で審査員奨励賞を受賞。韓国、日本、ニュージーランド、ヨーロッパ各地で演奏活動を行う。

審査員奨励賞 岩井春菜(いわい はるな) (女性 26才) 東京都出身
桐朋学園大学演奏学科(フルート専攻)に入学。その後古楽器科(フラウト・トラヴェルソ専攻)に転科し卒業。有田正広にトラヴェルソと室内楽を、有田千代子、寺神戸 亮に室内楽を師事。福岡古楽祭やヘンデル・フェスティヴァル・ジャパンに参加し、演奏活動を行う。

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